教育心理(教職教養)【教員採用試験の傾向と対策】

公立の教員採用試験において、教育心理は自治体ごとに出題分量・難易度が特にまちまちとなる分野です。地味な領域ながら、ひととおり内容を把握することが必要でしょう。まず基本としては、構成心理学から始まる心理学史の流れとともに心理学を構築してきた主な人物とその理論のキーワード、著作は押さえておくこと。
その他、主な頻出領域の一般的な傾向・対策を以下に述べます。
発達
スキャモンの発達曲線、シュテルンの輻輳説、ジェンセンの環境閾値説、ピアジェの発達段階、ヴィゴツキーの最近接領域などが頻出です。発達段階ではエリクソン、フロイトの理論も重要となります。学校教員として押さえておかねばならない初期発達と養育環境の領域では、ボウルビィのアタッチメント、ローレンツのインプリンティング、サイモンズの親の養育態度の類型などが頻出です。
学習
パブロフの古典的条件づけ、スキナーのオペラント条件づけ、ケーラーの洞察説、トールマンのサイン・ゲシュタルト説、レヴィンの場の理論など代表的なもの、また近年頻出度の上がっているバンデューラの社会的学習理論について、提唱者と内容をセットで頭に入れておきましょう。学習の効果性ではレディネスを、動機づけでは外発的・内発的動機づけと社会的動機の種類を押さえます。記憶については短期記憶、長期記憶、エピソード記憶などの種類を押さえます。忘却曲線のグラフ問題も頻出です。
性格と適応
性格の理論では、類型論、特性論、フロイトの性格理論とまんべんなく押さえることが必要。性格検査では、それぞれの方法の代表的な検査内容を具体例とともに整理しておきましょう。質問紙法検査の頻出は矢田部・ギルフォード性格検査、ミネソタ多面人格目録、エゴグラム、投影法検査の頻出はロールシャッハ・テスト、主題統覚テスト(TAT、CAT)、文章完成法テスト(SCT)などです。他、マズローの欲求の階層説、葛藤の類型、適応機制の種類と内容、そして近年頻出度の上がっている非社会的行動や発達障害の名称と内容をつかんでおきましょう。
心理療法
精神分析療法と行動療法の定義、箱庭療法、心理劇、系統的脱感作法、トークン・エコノミー法などが頻出なので、開発者名と内容を整理しておきましょう。カウンセリングでは、指示的カウンセリングや来談者中心カウンセリングなどの内容、カウンセリング・マインドについてしっかり理解しましょう。ラポール、クライエントなどの重要語句を答えさせる問題もよく出ます。
教育評価
最頻出は知能検査。知能指数や知能偏差値を問う問題や、ビネー式知能検査、ウェクスラー式知能検査などの名称と内容を合致させる問題が出されます。また相対・絶対評価や個人内評価、診断的評価、総括的評価など、分類ごとに内容をしっかり押さえましょう。評価を歪める心理的傾向では、混同しやすいピグマリオン効果とハロー効果をはじめ各傾向の名称と内容を整理しておくこと。
学級集団
頻出度は低いですが、なかでは集団の測定についての出題が多く、ソシオメトリック・テストとゲス・フー・テストの内容は押さえておきたいところです。他、リーダーシップに関する問題も多めです。