採用試験の傾向と対策
採用試験で求められる学力ってどのくらい?
実際にいろいろな学校で採用側の話を聞いていると、まず「学力はあって当たり前」。どんなに偏差値の低い学校でも、センター試験レベル=教科書全般を総合的に教えられるレベルが最低条件です。センター試験を教えられるレベルなら、英語なら英検、数学なら数学検定の内容までカバーできますよね。たとえ受験指導を行わない学校でも「学力の保障」が求められていますし、社会からのそうした要求が年々高じていることを現職の先生なら感じているはずです。さらに私学では、教科書レベルを超えた学力を求められることも多いですね。また単なる学力というだけでなく、求職者自身が中学高校を通じてきちんと勉強に取り組んだかどうか、ということも重視されます。
採用学力テストの内容は?
学校によりけりですが、私学では学校生徒の受験対象となる大学の入試問題をアレンジしたものを出題することが多いですね。G-MARCHレベルの大学の入試問題を解答させるところもあります。また、理系の募集なら国立大の記述試験を解答させたり、その問題を使って模擬授業をさせたりもします。ここで点数には表れない本当の理解度が出ます。私学を受けようと思っている求職者の方は、ふだんから入試問題をきちんと解いて、解説で自分の見せ場をつくっておくと他と差をつけられますよ。
模擬授業の内容は?
模擬授業はほとんどの学校の採用試験で行われるので、しっかり対策をしておく必要があります。内容は学校によりけりですが、進学校なら入試問題の解説を求められることも多いです。当日にテーマを与えられ、受験対応のクラスを想定して授業するといったこともあります。採用方法が多様化しているので、学校のニーズに応じた対策が必要です。例えば、学力下位層のコースを教える先生の募集では人間力やコミュニケーション力重視によりフリートークが組み込まれているなどですね。
そして内容以上に、大前提として重視されるのが「声の通りやすさ、聞き取りやすさ」です。一生懸命授業内容を組み立てて臨んでも、生徒に聞こえないのでは話になりませんから。学力テストの点数が足りなくても、元気のよさで採用が決まったという先生もいます。新卒や一般企業からの転職ではイメージがしにくいと思いますが、教壇から大人数の生徒を相手にして授業をするためにはかなりの声量と滑舌が必要とされます。模擬授業の練習をするときには、授業の内容だけでなく、遠くにいる相手や教室のサイズなど、スケール感もイメージして行いましょう。
面接時のプレゼンテーションで大切なのは?
基本として一番大切なのは、「声がはきはきしているかどうか」。模擬授業でまず見られるのもここです。また一般企業でも同様ですが、相手の目を見て話す、落ち着いて話すなど、対人で信用される振る舞いを意識しましょう。
人間性については、「バランスのとれた人間である」ということがアピールできれば好印象です。学生時代にコツコツと勉強できた人が好かれるのはもちろんですが、それに加えてバカ騒ぎもできる。極端な感じはしますがこの両面をバランスよく持っていることが望ましいですね。逆に、研究だけを根詰めてやってきたという人はあまり教職には向かないかもしれません。ただ、ある程度のコミュニケーション能力があり,研究成果をきちんと説明できればアピール要因になりますので、そこは日本教員採用などのエージェントも利用しつつ対策を練りましょう。
学力、授業力以外で重視されることは?
特に新卒の方で「先生の仕事はひとつだ」と考えている方は多いですが、そうではありません。学校によって方針が違いますし、地域によってもカラーや先生に求められることがかわってきます。各学校の方針やカラーに沿って、その学校が持っている問題点をふまえ、学校の将来についてビジョンを持っている求職者は喜ばれます。先進的な取り組みを行っている学校でいずれ専任講師として必要とされようと思うなら、この視点は絶対に必要です。
また一般企業からの転職なら、営業力や企画力も有難がられるでしょう。教師として対する相手は子どもだけではありません。時には保護者のクレームなどにも説得力をもって対応することが求められますので、「対人での場数」もアピールポイントになります。