採用活動の成否は活動開始前に決まる
採用での失敗はなぜおこる?
「採ってみて騙された」「こんな人だと思わなかった」……採用活動を経験してきた方ならどなたでも、こんな思いを経験したことがあるのではないでしょうか。採用の失敗は概して、試験の方法や面接の内容に問題があることから生じます。たとえばシステマチックに3回面接を行うとしますね。でも「何をみるのか?」が採用現場であやふやなままなら、校長はじめ管理職が本当に必要としている人材が最終面接まで残ってきません。人事が学校の将来を決めていくわけですから、管理職側がよい意味でトップダウン体制を敷き、徹底して必要な人材を求めていく姿勢が不可欠です。
採用方針は学校のブランディングに直結します。生徒募集方法やコースの改変などで“改革”をうたう学校は多いですが、外側だけでなくこれらに人事を対応させることを重要視すべきです。採用前に理事会などで方針を徹底的に決めて教員間で共有し、求める人材を見極めるための試験内容を組み立てることができれば、試験実施前段階で採用活動の成功はある程度保証されたといって過言はないでしょう。方針決定や試験のやり方に不安があれば、学校コンサルタントを利用するのも手です。日本教員採用では、先生方から現状の問題点やざっくりした展望をお聴きして今後の方針を詰めていくフローや採用システムのご提案、また方針にそった履歴書の振り分けなど、ご要望にそってお手伝いをさせて頂きます。
また、せっかく採用を決めた人材に逃げられることもありますので、内定者をつなぎ止める努力も必要です。採用活動は、開始前も終了後も油断がなりませんね。
採用方針を正しく採用結果に反映させるための方法は?
まず出発点として、採用方針と方法を細かいところまで詰め、文言化して教員間で共有しておくこと。例えば、学力テストで8割を切ったら落とす、7割以上は面接で評価する、など採用基準を数値化するとわかりやすいですね。学力テストと面接、模擬授業、グループトーク(最近ではワールドカフェなども一般企業での採用試験では取り入れられつつあります)などを連携させ、それぞれに配点をつけて多角的に評価するのもよいでしょう。学力テストで解かせた問題を使って模擬授業をさせれば、その問題に対する本当の理解度がわかるのでおすすめです。これは予備校講師の採用現場でも行われている手法です。
将来の生き残りを見据えた採用を考えるなら、このようにまず採用試験のやり方を上層部がきちんと研究のうえで決定し、現場にふる。ここがもっとも重要です。あらかじめ現場のニーズを聞いておくという視点も必要ですが、そのうえで、あくまでもトップダウンであること。現場を尊重しつつ、一企業として経営者がしっかりしていることが安定成長の秘訣です。行き当たりばったりで「とりあえず面接しといて」では現場が困りますし、ゆくゆくは管理者側が困ります。年度始めに場を設けて方針を立て、計画的な人事を目指したいものですね。
よい先生を集めるために、校内で整えるべき準備とは?
よい人材は、求職にあたって業界研究や学校研究をしっかりと行ってきます。学校内部の状態は評判として外部に伝わりますから、よい人材を学校に招くためには、当然よい先生が在籍するよい環境を整えておくことが必要になってきます。
では、よい先生を学校につなぎとめることができるよい環境とは?
- きちんと評価し、給料に反映させること。
- 上司が公正さをもって校務振り分けなどを行うこと。
- トラブルなどの際は上司が出ていって対応すること。
学校現場に限らず、どんな企業にも求められることですね。ただ学校という職場はよくも悪くも「ナアナア」な空気がつくられやすく、これらを徹底できているところは少ないのが実情です。①採用段階でも予備校講師の経験があれば初任給を上げるなどは短期的に有効です。長期的には、やる気のある先生を適材適所で活かせる、成功体験を積ませて育てることのできる環境は非常に魅力的ですね。②校務分掌ひとつをとっても、不当な押し付けなどが行われていないか管理職が目を光らせておくこと。細かいことでも曖昧にしていたりしがらみにとらわれたりしていれば、校務全体にゆがみがでてきます。そのような学校によい先生は残りませんし、よい人材も入ってきません。③管理者が矢面に立つことのない学校は外部からの信用面でもマイナスですし、現場の先生方の負担も大きい。また、そんな状態ではゆくゆくは悪しき現場主義が高じてコントロールがきかなくなる要因にもなります。
以上3点が徹底できているかどうか、まずはご自身の学校をチェックしてみてください。もし至らない点があれば、採用活動と平行して学校内部の改革を進めることをおすすめします。