教育史(教職教養)【教員採用試験の傾向と対策】

2013/05/28 事務局 講義
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公立の教員採用試験では、全国的に日本教育史よりも西洋教育史に比重が傾く傾向がありますが、日本教育史の主要な流れ、そしてとりわけそれぞれの私立学校の設立に関わる内容は押さえておくべきです。教育史は学校ごとに対応しやすい部分でもありますので、自分の受ける学校について対策を立ててみてください。
またこの領域で多いパターンは、人物とそれぞれの著書や業績、名言を結びつけさせる問題です。
以下に主な領域の一般的な傾向・対策を述べます。


西洋教育史
出題が多いのは近代以降の教育史ですが、古代でも、ソクラテス、プラトン、アリストテレスあたりは基本として押さえておくべきです。近世からは、実物教授、直観教授の方法を広めた「近代教授学の祖」コメニウスに関する問題が最頻出。ルネサンス期の人名やキーワードも整理しておきましょう。
近代で最も頻度が高いのは、ルソーの消極的教育論と著書『エミール』、カントの著書『教育学講義』、ロックの精神白紙説(タブラ・ラサ)など。また新人文主義のペスタロッチとフレーベル、4段階教授法のヘルバルトについても著書やキーワードを頭に入れておきましょう。
現代では、アメリカでの新教育運動の主要人物デューイについてが著書、名言ともに最頻出となっています。その弟子キルパトリックのプロジェクト・メソッドや、ウォッシュバーンのウィトネカ・プラン、モリソン・プラン、パーカストのドルトン・プランについてはそれぞれ判別できるようにしておきましょう。ヨーロッパ勢ではエレン・ケイとその著書『児童の世紀』、モンテッソーリ、シュタイナーなどが頻出です。
第二次世界大戦後では、ブルーナーの発見学習とブルームの完全習得学習を確実に押さえておくこと。ほか、ラングランの生涯学習やイリイチの脱学校論も頻出です。

日本教育史
西洋史と同じく、近代以降の教育史が頻出となっています。古代では空海の綜芸種智院や別曹、中世では金沢文庫と足利学校そして庶民の教育を大きく発展させた鎌倉新仏教について押さえておきましょう。
近世からは、昌平坂学問所、藩校、寺子屋など江戸時代の代表的な教育についてよく出題されます。学者や武士による私塾では、古義堂、藤樹書院、鈴屋、鳴滝塾、松下村塾、適塾などが頻出です。
近代では、文部省の設置や学制、学校令、教育勅語など、明治時代の教育に関する法制史を確実に押さえておきたいところです。人物では福沢諭吉、田中不二麿、森有礼、元田永孚らとその業績を頭に入れましょう。大正時代は大正新教育運動関連の人物と業績、昭和前期は生活綴方教育と郷土教育運動をまず押さえます。
第二次世界大戦後は、アメリカの方針によって大きな飛躍のあった学校教育の立法措置や教育改革の流れについて多く出題されています。平成の教育改革は教育時事としても頻出領域です。